加奈子の出身中学について

「野球は中学まで」と、父親である如月女子高の三田校長に言い渡されていた加奈子(第7話)ですが、中学時代はどこで野球をやっていたのでしょうか。如月女子中? しかし…。

加奈子と寧々は同級生

強化合宿初日、着いたばかりの宿舎の部屋で中学校の修学旅行の思い出を話しあうシーン(第20話)から、加奈子と寧々は同じ中学だったと考えられます。修学旅行が海外というのは公立校ではありえない話ですからふたりは私立出身、さらに寧々が第5話で、父親が学園の役員をしていると言っていることなどから、如月女子中学からそのまま女子高へ進学したと判断するのが妥当です。寧々もなにやら相当なお嬢様のようですが、他の中学から如月に入学したての新参者の保護者では、どんな名士であってもすぐには役員に就任できないでしょうし、役員改選が新学期早々にあるというのも不自然です。如月学園には学外理事の制度があったというのも考えすぎでしょう(もっとも小文全体が考えすぎの産物ではありますが…)。

寧々と加奈子が同じ(私立の)中学からそろって如月女子高を受験したという設定は果たしてありうるでしょうか。寧々自身は如月に籍を置いていなくても、すでに如月女子高校に在学している(いた)姉がいると考えれば理事うんぬんは一応筋が通ります。しかし第1話の涼と誠四郎の会話から、如月高校(男子の方)はかなり難しい学校のようです。中高一貫校の入学試験は、一般に高校の方が中学より格段に難しいものですから、如月女子高の方も(生徒にやけにミーハーな子が多いことを割り引いても?)お嬢様なら誰だって入れるというわけにはなかなか行かないでしょう。中学時代から秀才であったろう加奈子はともかくとして、マンガばかり読んでいた(はずの)寧々が簡単に入試を突破できたとは思えません。また、テニスコートでの涼といずみの最初の対決(第3話)で「いずみさんもすごいけど、…」と、テニスに縁のない寧々が以前からいずみの名を知っていたような口ぶりをしていることからも、寧々(と、加奈子)は如月女子中出身であったと判断してよいでしょう。

校長のかたくなな態度は疑問

となると、如月学園は「誇り高い伝統ある(女子のみ?)テニス部」の他にも、男子の如月中は全国中学校野球大会の地区大会で優勝(本大会でも、宏樹が「話題をさらう」ためにはまさか1回戦で敗退できないでしょう)、如月女子中も全国中学軟式野球大会で名が出るほどの有力選手を擁するなど、もともと文武両道の気運が非常に強い、スポーツが活発な学校であるはずです。特に女子高は、野球以外にも真央が柔道特待生としてスカウトされていますし、仮に特待生の入学要件が涼と同等(面接で、好きな男の子や芸能人の話を物おじせずにできれば合格…本当か真央、ユキ?)とすれば、いわゆるお嬢様学校としてはスポーツ選手に対して異例ともいえる優遇措置をとっています。こちらも当然特待生を受け入れているはずのテニス部とあわせて考えれば、如月女子高はははじめからスポーツを学園振興の重要な手段に位置づけていると考えるのが自然なはずです。

ああそれなのに、如月女子高には軟式野球部はおろかソフトボール部すらないというのです。いきなり硬式野球部を創設して男子に伍して甲子園を目指すという理事長の発言に理事会の面々が驚き呆れるのはいいとして、その後の理事諸氏の反応はスポーツに理解のある学校のそれとしては大きな違和感を与えるものだったように思えます。加奈子の父親たる三田校長にしても、個人的な信条はともかくとして「校風にそぐわない」反スポーツ的な言動はなかなか公にはできないはずではなかったでしょうか。

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追記:以上の考察は、学園の運営に携わる役員である「理事」と、PTAなどの「役員」を混同しています。したがって、寧々の父親が実業家や学識経験者、著名人などの名望家であって子女の在学いかんと無関係に「理事」として迎えられており、やがて娘が学齢となって如月学園に入学を希望、それまでの学園への貢献を考慮して(マンガに関する知識を問う面接程度で)入学を許可した、ということは無理ではないかもしれません。ただしその場合、こんどは加奈子がなぜ(寧々と一緒に)如月以外の私立中学にいたのか、という疑問が生じることになります。三田校長が愛娘をできるだけ身近に置いておくためには如月は中学から受けさせるのが理にかなっており、理事の娘は(難しいはずの高校でも)マンガで受かるが(?)、教員の娘は秀才でもだめ、というのはまったく理屈に合いません。当時三田校長は如月学園にいなかったのではないかという推測は、いろいろと気を遣うことも多そうなお嬢様学校で、就任わずか3年(か、それ以内)で子飼いの教頭を持つまでの実力者に成り上がる困難を想像すると、ありそうもないことのように思えます。(2005/4/6)

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