so-what? 倉庫

・本日のso-what?：2004年５月

※これ以前のリンクは、切れていることが多いと思われます。あらかじめ承知おきください。

5/29/2004　右顧左眄

蓮池家の気持ちとしては日朝首脳会談を終え２２日帰国した小泉首相を拍手で迎えたかったが「残念ながらそんな雰囲気でなかった」という。これでは、その手紙も世間におもねっているのではと勘ぐられても、致し方ないでしょう。評価と批判は分けてすればよいことで、批判をしたから評価をまったくしていないということにはなりません。

5/26/2004　学校の外に世間なし

大田区の中学校で放送室ジャック　少年１０人逮捕～アサヒ・コム

「卒業式を前に伝説を作ろう」と騒ぎを計画したという。生徒同士が最後の一人になるまで殺し合う内容が論議を呼んだ故深作欣二監督の映画「バトル・ロワイアル」を見たといい、せりふや挿入曲を校内放送で流していた。なんとなく、劇場で「昭和残侠伝」を観ながら高倉健に向かって「異議なし！」などと叫んでいた変わった人たちのことを連想させます。当時から日本社会の学校化は始まっていて、現在はついに映画の中身まで学校になってしまいました。

5/22/2004　MacOS Xの深刻な不親切

『マックOS X』に初めて深刻なセキュリティホールが判明～WIRED NEWS

helpプロトコルとdiskプロトコルの呼び出すアプリケーションを無害なものに変えてしまえば問題ないのですが、この調整を行う機能が標準装備されていない。Internet Explorerの「環境設定」から操作可能ですが、いかにも裏技的で釈然としませんでした。

RCDefaultAppを用いれば、OS9の「インターネット」と「FileExchange」コントロールパネルを合わせたのと同等の設定項目を、システム環境設定から一元管理できます（10.2以降対応）。これを使って、両プロトコルのハンドラに「スティッキーズ」を割り当てておきました。あらかじめメモを保存しておくと、あやしげなWebページを読み込んだとたんに、「フィーフィーちゃんが言ってる…悪いことが起きるって…」などのすてきなメッセージが表示されるという寸法です。

OS Xになって拡張子とアプリケーションがストレートに対応するようになったのに、その関連づけの状況を一覧して編集できるような機能が用意されていない（拡張子の占める位置がより低かった旧システムには用意されていたのに）というのは、ずいぶん不親切であるように思われます。

追記…Security Update 2004-05-24（for Panther）（for Jaguar）が配付されました。変更点は明示されていませんが、Help Viewerが更新されるようですので、この問題に対応するものと考えられます。なぜ週明けの日付けになっている？

5/21/2004　違法行為

社会保険庁：業務目的以外での閲覧禁止を明文化～毎日インタラクティブ

職員が業務目的以外に個人情報を利用する行為は、行政機関個人情報保護法でも禁止されているが、社保庁は「万全を期するため改正した」と説明している。社会保険庁は職員が違法行為を行ったという認識のようですが、それに見合った対応をするでしょうか。改正した内部規定の方に従って甘い処分を行う可能性はないでしょうか。そもそも「犯人」をみつけることができるでしょうか。

住基ネットシステムから情報が流出する事故が起こるとするならば、やはりクラッキング行為ではなくこうした「人災」が原因となるのではないでしょうか。住基ネット（によって業務が効率化し、リストラが進むこと）を快く思わない人は、現場にも多数いるはずです。

5/15/2004　ネットにおける「拳銃」

　包丁は野菜を刻むこともできるし、人を傷つけることもできる。罪に問われるのは、人を殺傷した実行行為者だけだ。拳銃は、人を殺傷する以外に目的を持たず、日本では所持も製造も禁止されている。京都府警が今回、ウィニーという通信ソフトの開発者を著作権法違反の「ほう助」で立件に踏み切るのは、同ソフトをネット社会における「拳銃」の開発に等しい、と判断したといえるだろう。

Ｗｉｎｎｙ開発者を逮捕へ　京都府警、30代東大助手国内初～京都新聞

この例え話は問題の理解に役立っていません。この事件の問題点はあくまで、著作権法違反の「幇助」の解釈がきわめて恣意的である、という点にあるはずです。拳銃の構造を備えていないものを拳銃と判断することはあり得ないでしょうが、そのような異常事態が起きている可能性がある、ということです。

この包丁で特定の人を殺傷してくれたらいいのに、と想像しながら誰かに包丁を販売したり、「この包丁は人を殺傷することにも使用することができます」と説明（？）して包丁を販売したところ、本当にその包丁を使った殺人事件が起こった、という場合、販売した人は殺人の教唆、または幇助の罪に問われるでしょうか。

□◆□

「ウィニー」の“生みの親”天才技術者の素顔～ZAKZAK

パソコン上でリアルなフィギュアの少女を動かしたり、着せ替えができるオタクっぽいソフトなど続々開発したり（それが専攻なのだから当然ですが）、「おとなしそうな感じ。あいさつしても『ウン』と頭を下げるが、声を出さない。いつも私服で学生の延長という感じだった」ということですが、この記事を書いた記者氏の考える「オタク」像がそういうものなのでしょうか。ずいぶん漠然としているように思えます。

5/5/2004　歴史の審判

アイレディース宮殿黒川温泉ホテルは今日で営業を終了し、明日付けで閉館となります。営業案内などはまだ残っています。

　私共はハンセン病回復者の方々に、宿泊を拒否したことは心から申し訳なく思っております。ともかく、私共は誠心誠意を尽くす事に努力してまいりました。既に表明しております様に、最大且つ最善の謝罪としてホテルを廃業いたします。振り返って考えて見ても、ハンセン病回復者の方々も私共も被害者であり、私共は熊本県が加害者と思っております。何時の日か、この間の経緯の真実のすべてが明らかになり、歴史の審判を受けることが出来れば幸いと存じます。

黒川温泉ホテル閉館のお知らせ～株式会社アイスター

誠心誠意を尽くした結果が宿泊拒否であったというのが、今回の事件の発端です。「ともかく、」の前に（関係法令の遵守は）が足りません。
事件発覚当時そのままの姿勢で営業を続けていれば、このホテルは遅かれ早かれ営業免許の取り消し処分を受けたでしょう。ホテルを廃業して謝罪する、などというのはまったくの欺瞞です。
したがって、このホテルが一方的な加害者であり、被害者は宿泊を断られた人たちです。県に責任を転嫁するのは八つ当たりというものです。
経緯の真実が未だ明らかでないとすれば、このホテルが情報の出し惜しみをしているからでしょう。「ハンセン病の元患者だと事前に知らされていなかったために、十分な準備ができなかった」という呆れた言い分の他に、さらに恥の上塗りをするような「真実」があるのでしょうか。
このホテルは確信犯ですらありえない単なる社会不適合者であり、矯正不可能ならば退場の他に道はありません。ハンセン病施策を誤った国同様、このホテルも繰り返し歴史の鉄槌を受けるでしょう。
国は（あまりにも遅くはありましたが）誤りを認め、名誉回復と損失補償の取り組みを開始するなど問題の解決に向けて動いています。一方、このホテルは、元患者の人権に最大限に配慮すると言った同じ口で、そのための社会的責任を果たすことを拒否しました。

ハンセン病宿泊拒否問題～西日本新聞